庭園はいつもその時代の理想美を追求してきた。その思い描く理想の形が、身の回りの、もしくは自身の自然感と合体した庭園となり、そして現代まで長いこと様々な形式とスタイルを生み続けてきた。自明なことだが、庭園は人の作為によって、人のためにつくられる。しかも人の幸福や安らぎのために。
今、世界的に言えば、安らかな眠りがすでに失われている現代において、心の平穏を何に求めていくか、世界と言わずとも、我々の身近においても、日々ストレスの多い現代社会が横たわっている。そんななかでひとつの「解」として庭園を考えてみたい。
人々のざわめきや車のクラクション、街頭ディスプレイの映像や音声
必要以上に利便性を高める過度な車利用
モノによってのみ幸福感を高めていく現代社会
今、世界では心を閉ざし、感動のカケラすら味わうことなく闇の世界をさまよっている人たちが大勢いる。 こういう人たちと向き合った、本当に「心が解き放たれた自然の世界」にこそ、これからの庭園の存在価値があるように感じる。 庭園の持つ思想性や美の世界で全てやれるわけではないが、少なくとも、このようなことに気づき、新しい時代の新しい庭園の価値と進化に期待したい。
上記は要松園のコンセプト及び作品事例であり転載を禁じます。